2017年07月29日

小説のリズム

文を幾重にも幾重に重ねて形にしていくのが小説であるが、作家によって文の重ね方も様々だ。いかに文章を続けていくか。文章を文章として成すための文と文を繋ぎ合わせるためのリズム。いかにリズム良く話を進めていくか。これが小説家の道を分けると私は思う。

 もちろん適した言葉を組み合わせ優れた文を作ることも重要だ。ただ、それを文章にする上でリズム感、間の取り方も非常に重要になってくる。


 例えばこれは私が先日アップした武さんとさんまさんの創作の話なのだが、遊びで書いたこの文章でさえ、私は間の取り方に苦悩した。
(これから説明することはあくまでも私の考えであって、これが正解ではないと断ずる方も恐らくおられることを承知の上読んでいただきたい)


 このシーンは、武さんのマネージャーがカップ焼きそばも作れないという失敗談を、武さんがさんまさんに説明しているところ。

武「まずね、あいつ老眼だから、焼きそばの作り方の説明文をよく読めないの。あれってけっこう字ちっこいだろ。でさ、二カ月くらい前かな。初めてカップ焼きそば作ってきてくれって頼んだんだよ。給湯室でやってきてくれって。で、俺は台本に目を通して待ってたわけ」
「はい、はい」と、相槌を打ちながらも、さんまの眼球は今にもこぼれ落ちそうになっている。
 この男は笑い話が大好物なのだ。溺れた状態で浮き輪と笑い話が流れてきたら、この男なら迷わず笑い話に飛びつくのではないだろうか。生きることは笑う事、死してなお笑いを欲する。
武「で、ちょっと戻ってくるの遅いから、給湯室混んでるのかな~くらいに思ってたわけ。そしたらそいつ戻ってきて、自慢げに言うんだよ。『武さん、焼そば作って参りました』って、こんな顔してさ」
武は大げさに顔をひん曲げて見せる。それと同時に、さんまは顔を上げ手を鳴らす。
さんま「いや、その人にしたら頑張ったのかもしれませんやん。大変な作業だったんでしょう、きっと」

この会話の中でさんまさんがいかに笑い話好きかを、読者に伝えるための一文を武さんの内心で語らせて部分がある。

それが、これ
この男は笑い話が大好物なのだ。溺れた状態で浮き輪と笑い話が流れてきたら、この男なら迷わず笑い話に飛びつくのではないだろうか。生きることは笑う事、死してなお笑いを欲する。


私は当初この後に、+8行の文を続けていた。それを書いてる途中まではいい感じの流れが文章にあったのだが、その後に武さんにマネージャーが部屋に戻って来たことを声に出して説明させると、何とも不格好な流れになってしまったのだ。

 それの当然のことだ。武さんが喜々としてさんまさんに話をしているシーンで、武さんがさんまさんをどのような人間と思っているかを10行近くも説明させるのは無駄が多すぎる。しかし私はそこで苦悩に陥ることになる。

 何故なら、私の空想でありながらも、なんとも武さんらしい文章を書き上げていたのだ。文章のリズム、間を壊してでも自分が気に入った文章を取るか、文章の流れを取るか。
悩んだ末に私は流れを取った。私の中ではどんなに優れた文であっても、文章のリズムを壊すことは許されないのだ。

 そのため私は、気に入っていた8行の文章を削除した。この話を長編として書いていたなら、その文章を別の場所に持っていき形を多少変えいかしたかもしれないが、こんな短い作りの話の中には組み込みようがなかった。

 遊びで書く小説もどきにさえ、文章のリズム、流れ、間というものを避けて通ることは出来ないという話でした。


最後まで読んでいただきありがとうございました。
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posted by シバモト at 20:14| Comment(0) | 小説に関して | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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