2017年08月10日

小説を書く楽しさ





 私は以前小説を書く楽しさを問われた時に口ごもってしまった覚えがあります。
楽しさならたくさん知っているんですよ。楽しさを知っているからこそ、この仕事をしているのです。
私自身が幼いころから話を創造したり、それを紙に書き綴るのが好きでしたから、その中で多くの楽しみを見つけてきましたから。
 しかしこの質問を投げかけられた当時はスランプの中のスランプで、パソコンの前に座り続けても一文も書き進められない日が何日も続いていました。
もう私は文章の出来にこだわり始めたらどこまでも深みにはまっていくタイプなので、一文書くことに数時間、下手をしたら数日かけることもあるわけです。
長編小説の中のたかが一行にそこまでこだわる意味があるのかと思われるかもしれませんが、その一文で書き上げた500枚の原稿の価値を決めてしまうほどの大きな影響力を持つ一文があるのです。
そこでどのような言葉、表現、文体を使うかによって、小説の良し悪しが大きく変わってしまう。

大袈裟な話ではなく、本当に砂漠の中から一粒のダイヤを探し出すような作業をしている時に、小説を書く楽しさを問われたのです。
それも、仕事を辞めすることが無いから小説家を目指そうと考えている方からの質問であったため、私は答えに困りました。
元々話作りが好きな私でも、行き詰った時には相当心身を疲弊させる仕事なので、簡単に小説家にでもなってみるかって考えの人には辛いことが多いと思ったのです。
ですが小説家を目指すなと言っているわけではありません。むしろ私は、この仕事を本気でしたいという気持ちがある多くの人に小説家を目指してほしいと考えています。昔からの事ですが小説家の世界は敷居が高すぎる気もしますしね。
紙の上で上手く言葉を躍らせる専門的分野において、更に限られた優れた人間しか小説家にはさせない頑固な一面を持ちながら、コネや人脈を持つ一部の人間には、ほいそれと小説家の席を譲ってしまう。

これじゃつまらないでしょう。そんな愚行をするくらいなら、本気で小説家を目指す人達に対し、門を開けてあでるべきだと思います。

話がずれましたね。

つまりの所、小説家の仕事は高い専門性を求められるため、苦労する部分は多いのです。これは全ての仕事に言えることでしょうが、半端な気持ちで職についても必ず投げだしたくなる時が来ます。そして多くの苦悩の中から、小さくても喜びを見つけ出していく。それが出来なければ仕事を続けられませんからね。

 それで私は答えに窮したあげく「楽しいですけど、その分苦しい時は本当に苦しいですよ」と、曖昧な言葉を返してしまいました。結果としてはその人も小説の完成には至らなかったらしく、小説家になることはすぐに諦めてしまいました。

 ですから結局は、その人が小説家に向いているかどうかではなくて、辛い仕事や作業の中でも楽しみや喜びを見つけられるかどうかなのだと私は思います。数日間パソコンの前でたった一行、一文に苦悩しても、探していたものを見つけ出した時の喜び。
これは何物にも代えがたい幸せなものなのです。
苦労を重ねたうえで、一かけらの幸せを見つけること。それが小説を書く楽しみの一つなのかもしれません。


最後までお読みいただきありがとうございました。


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posted by シバモト at 20:02| Comment(0) | 小説に関して | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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